小川泰弘投手、初勝利!
愛知県立成章高校は、第44回選抜大会〔1972年〕に初出場したが。名門・長崎県立諫早に3-5で惜敗した。渥美半島の田原市にある同校は、公式戦に臨むのもひと苦労。部員たちは朝4時に家を出て、集合場所まで車で送ってもらい、名古屋市内の球場に向かうことも珍しくない。数々のハンディを乗り越えて、文武両立を果たす姿勢が評価されて、愛知県での21世紀枠のみならず、東海地区での21世紀枠にも残った。しかし、2年連続で選抜大会の補欠校。ようやく、21世紀枠に選ばれての3度目の正直で、選抜出場が叶った。関係者の涙を忘れない。
さて、第80回記念選抜大会〔2008年〕に臨むチームは、2年先輩と1年先輩の悔し涙を胸に順調に調整を重ね、3月20日にPL学園のグラウンドや室内練習場で調整し、夜はささやかな激励会が宿舎で開かれた。奈良県の進学校で監督として春の甲子園出場経験のある先生、PL学園の選手として夏の甲子園出場経験のある大学生などから激励の温かいメッセージが送られた。3月22日に開会式直後の試合で、1回戦で駒大岩見沢相手に、3-2で甲子園初勝利をあげた。また、菜の花が咲いたような黄色で統一された応援団が最優秀応援団賞を受賞した。
その時の投手が小川泰弘投手で、創価大学を経て、2012年にヤクルト・スワローズからドラフト2位で指名され、何と2013年のシーズンは16勝を挙げて新人王に選ばれた。2020年6月20日〔土〕に中日相手に2失点の好投、高津新監督の初白星となる今季初勝利を挙げ、同日にFA資格まで獲得した。プロ野球の開幕は嬉しいが、真面目な小川投手の奮闘が頼もしい限りである。
蛭間俊之