高専球児 涙の夏
第102回全国選手権大会が中止になり、地方大会に代わって各都道府県高野連が主催する独自大会が一部地域で開始される中で、全国で高等専門学校〔高専〕の出場辞退が相次いでいる。一般の高校より通学区域が広く、寮生活や府県境をまたいで通学する生徒が多いことから、いまだに通学禁止となっている学校もあるためだ。
感染リスクから7月3日まで登校禁止の奈良高専の野球部員は部活動再開の目途も立たない。「学校が許可しなければ、7月18日開幕の奈良大会に出場できないし、8人の3年生は何もできないまま引退になる」との切実な訴えが6月20日にあげられた。しかし、23日だった大会参加申請の締め切りを延長して、奈良県高野連は奈良高専の最終判断を待ったが、辞退を決めた。3年生を含む11人の部員の悔しい表情が目に浮かぶ。
弓削商船〔愛媛県〕に始まり、大島商船〔山口県〕・長野高専〔長野県〕・沼津高専〔静岡県〕・舞鶴高専〔京都府〕なども出場辞退を決めている。そんな中、今年の選抜大会で、東海地区で21世紀枠候補校に選ばれた近大高専〔三重県〕は、十分な感染対策を施した上で、6月上旬から部活動を再開し、三重県の独自大会にも出場し、7月12日に津工と対戦予定である。頑張ってほしい。
蛭間俊之