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「杉並の高校野球春夏熱闘の記憶」展

 サンケイスポーツの名物コラム『甘口辛口』によれば、杉並区立郷土博物館分館での展示があり、杉並区から日大二、日大鶴ヶ丘、佼成学園、国学院久我山の4校が甲子園に出場しているが、1つの自治体からの出場校数としては都内有数だそうだ。

 かつて夏の甲子園大会は昭和16年〔1941年〕から戦争の影響で中断した。しかし、昭和17年〔1942年〕には戦意高揚を目的に文部省主催で「大日本学徒体育振興大会」が開かれ、野球もその一環で、主催新聞社が申し入れた大会回数継承と優勝旗使用を文部省がはねつけた「幻の甲子園」だった。この大会に南関東代表として出場したのが「京王商業」で、戦後は「専大京王」から「専大付属」と校名は変遷したが、杉並区内の学校である。試合は初戦で徳島商と対戦し、延長14回でサヨナラ負けしたが、徳島商は優勝した。

 展示を見ると、「選手証」ではなく「選手證」の3文字が戦時下の象徴にも見えたという。「京王商業」は甲子園で戦いながら、公式記録には残っていない。今年の代替大会もそうだが、幻の甲子園はやはりつらい。時間が許せば展示会にも足を運んでみたい。

蛭間俊之