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甲子園から花園へ

 全国高校ラグビーフットボール大会は2020年12月に第100回を迎える。ラグビー関係者は、2006年から2007年にかけて、宿澤広朗さん〔埼玉県立熊谷→早稲田大学→三井住友銀行〕と東山勝英さん〔兵庫県立神戸→慶應義塾大学→神戸製鋼〕を失った。リーダーシップをフルに発揮した東山さんの名前は「英国に勝て」という意図から命名されたことを雑誌『Number』の記事で知った。

 約10年後の2015年から2016年にかけては、上田昭夫さん〔慶應義塾→慶應義塾大学→フジテレビ〕と平尾誠二さん〔伏見工→同志社大学→神戸製鋼〕を失い、2019年のラグビーW杯を迎えるのに、平尾さんを偲ぶ「感謝の集い」でサッカー界から岡田武史さん〔大阪府立天王寺→早稲田大学→古河電工など、今はFC今治〕による関西弁で惜別の弔辞にあったように、スポーツ界全体で大きな喪失感に襲われた。『勝利のチームメイク』で、古田敦也さん〔兵庫県立川西明峰→立命館大学→トヨタ自動車→ヤクルト〕と岡田さん、平尾さんの3人が2人ずつで対談しているが、3人揃ってのトークが聞けなくなったのは残念でならない。

 さて、9月29日からの3日間、日刊スポーツで埼玉県立浦和、滋賀県立膳所、大阪府立北野と連載が組まれた。特に、滋賀大会の代替大会である独自大会に敗れて硬式野球部を7月に引退した膳所の長身の一塁手が、「今しかできないことをやらないと後悔する」とラグビー部に入部した記事は嬉しい限りだ。たしか、1981年8月に帯広工で甲子園に出場し、都城商と対戦された選手が、12月に花園で広島工とのラグビーの試合でも活躍されたニュースが懐かしい。

 公立校ラグビー部の支援を目的に設立されたNPO法人「ノーサイドアール」〔田中伸明理事長、大阪市〕がニュージーランドへの短期留学を企画するなど、公立復活に貢献度は高い。2019年11月9日に神戸で、松永敏宏さん〔大阪府立天王寺→慶應義塾大学→横河電機→プルデンシャル生命→FMI〕や廣瀬俊朗さん〔大阪府立北野→慶應義塾大学→東芝〕と会う機会があった。どうかご健康に留意されて、ラグビー界のみならず、スポーツ界全体を牽引していってほしい。

蛭間俊之